「縦開きの本」- #広告がなくなる日

この本は、「縦開き」という構造にしました。

本の「形状」そのものは「普通の本」と変わりはありません。ただ「印刷する方向」を変えています。それだけでも、人が受ける印象や、読書の体験・行動のあり方は大きく変わってくるだろうと思います。

例えば、机の上や膝の上に置き、箱の蓋をあけるような開き方をすることになります(上記の写真のように)。もしカフェでこの本を読んでいる人がいたら、遠くから見てもきっとわかるはずです。本屋の並びでも(良い悪いはあれど)違和感が生まれているだろうと思います。

この形状にしたのは二つの意図があります。「普通の本を読み切る集中力ってないよね?」ということと「プレゼン形式の書籍にしたかった」というものです。これらに関しては書籍の中に詳しく書きました。

でも一番の理由は、とにかく「本という成熟した形状にだって、まだ”新しい形”があるのかもしれない」という可能性を模索してみようと思いました。本の形はどこまでが必然なのだろうか? 今の形は本当に正しいのか? 別の可能性は残っていないのだろうか? そういう「疑い」が、アイデアの種のようなものになると考えています。

本は「横開き」が「当たり前」です。ページのめくりやすさの観点だけでも合理的だし、長い歴史のなかでその形状に落ち着いたことへの理解と敬意はあるつもりです。でもまずは、それがどんなものであれ、「当たり前」も疑ってみることが必要だと思うのです。それが僕らの仕事における、重要な入り口になっています。

今、誰もが「当たり前」だと思っている多くのことは100年は当たり前ではなかったはずです。ルールも慣習も伝統も、時代のどこかで必ずアップデートされていきます。そうやって、少しずつですが、よりよい社会が構築され、人々は前へと進んできたはずです。

現状を疑い、脱線し、常に新しい道を開拓する。少しでも今より良い未来を希求し続ける。広告クリエイティブの仕事は、そういうものに挑戦する仕事でもあります。この「広告がなくなる日」という本は、その「広告クリエイティブ 」の可能性を信じ、追求していくための本でもあります。

そんなわけで、この本は基本的に「縦開き」という構造になりました。読みづらい人は……ごめんなさい。でももしかたら、いつかこの「縦開き」の本だって、当たり前になっているかもしれません。